初回商談・オンライン相談無料 / 横浜オフィス・東京銀座ミーティングルーム
直通電話: 080-4165-4603 / MAIL: patentok2022@gmail.com

公取委「知的財産等取引指針」が公表されました ― 中小企業の技術を守るために ―

令和8年6月24日、公正取引委員会・中小企業庁・特許庁は「知的財産権・ノウハウ・データの適切な取引のための優越的地位の濫用等に関する指針」を公表しました。本指針は、特許・ノウハウ・産業データなど、企業の競争力の源泉となる知的財産を不当に吸い上げられることを防ぎ、適切な対価設定と公正な取引環境を整備することを目的としています。特に中小企業にとっては、自社技術を守りながら大企業との取引を進めるための重要な指針となります。

本指針の特徴は、従来の「特許権などの権利行使」に限らず、ノウハウやデータといった非権利化情報まで広く保護対象に含めている点です。例えば、CADデータ、製造条件、工程ノウハウ、試験データ、顧客データなども「知的財産権等」として扱われ、これらの不当な開示要求や無償譲渡の強要が優越的地位の濫用として問題となり得ると明確化されました。

また、秘密情報の管理については、企業側が自社の秘密情報を整理し、必要な範囲でのみ開示することが推奨されています。特にNDA(秘密保持契約)については、片務的な内容や過度に広い秘密情報の定義は望ましくないとされ、「公平で適切な範囲のNDA」を締結することが求められています。これは、相手方から一方的に広範な秘密保持義務を課されるケースを防ぐための重要な指摘です。

さらに、知的財産の対価設定についても踏み込みがあり、成果物と知的財産権の対価を区分して明確化すること、ライセンス料の設定方法を複数提示することなど、実務的な指針が示されています。中小企業が自社技術を適切に評価し、正当な対価を得るための支援となる内容です。

共同研究開発に関する部分では、成果物の帰属や利用条件について不当な設定が行われるケースが問題視されており、名ばかりの共同研究開発による成果の吸い上げを防ぐための考え方が整理されています。成果物の帰属主体や共有知財の扱いについて、契約段階で明確に定めることが重要です。

今回の指針は、知財の保護と公正な取引環境の整備を両立させるための実務的なガイドラインであり、中小企業の知財戦略にとって大きな追い風となります。SJ知財弁理士事務所では、NDAや共同開発契約の作成・レビューを通じて、企業の技術資産を守るための支援を行っております。取引先との情報交換や共同研究を進める際には、ぜひ本指針の内容を踏まえた契約書の整備をご検討ください。

公取委が公表した秘密保持契約書・共同開発契約書のひな型はこちらから確認できます: https://www.jftc.go.jp/